大陸はもう「故郷」じゃない、香港人として生きる若者たち
香港、若者の選択
ジョン君は20代後半、外資系金融機関で働くおしゃれな若者です
見た目はごく普通の、どこにでもいる青年です
彼は先日のセントラル占領運動や、その後の香港独立を求める活動に参加していています
厳密にいえば、彼は独立派ではありません
しかし香港は政治的、経済的に大陸に影響されるべきでないと、そう考えています
なぜジョン君がそう考えるようになったのか、たずねてみました
ジョン 私の家族は、大陸の南部の出身です
国民党の支配する町で、財務関係の仕事についていました。共産党が政権をとり、知識人や資本家にかかわっていた人たちが迫害されるのではないか、家族はそれを恐れて香港へ脱出してきました
私自身はもちろん香港生まれ、香港育ちです
正直いって、大陸が故郷という気持ちはほとんどありません
私の「故郷」は香港なんです
しかし、香港が完全に独立すべきだとも思わないです
独立というよりは、香港、マカオ、台湾でゆるやかな連盟、連合を組めないか、そう考えています
香港の若者で、大陸を自分の故郷と思う人はあまりいないんじゃないでしょうか
むしろ、自分は香港人だという意識のほうが強いように、白猫には思えます
ジョン君もその1人
親族の「故郷」には行ったことがありません、親族も迫害を恐れて未だに故郷を訪ねることはできていないそうです
ジョン 大陸はむしろ別の国のように感じます
だから正直いって、大陸の民主化とか、自由化にもあまり関心はありません
6月4日に毎年集会が行われていますが、すでに学生たちの団体のいくつかは参加を見合わせ始めています
もう大陸の民主化より、香港の自由が脅かされるほうが私たちにとってはおおごとなんです
6月4日、毎年行われている天安門事件追悼の大会
学生や若者たちの参加は今後減っていくかもしれません、なぜなら彼らにとっては大陸の民主化はもはや主要な関心事ではなくなってきているからです
ジョン 宗教団体のボランティアをしているので、香港の貧しい人たちやお年寄りのためにクリスマス等にいろいろな活動をしています
自分にはそっちのほうが大事ですね
ジョン君のような若者は珍しくありません
経済危機後、大陸から香港へのビザを緩和したせいで、買い出しの人があふれかえり、町の風景は一変してしまいました
どこででもゴミを捨て、トイレマナーも守らず、お金は持っているのでありったけのモノを買い占めて帰っていく大陸の人たち
香港の若者の中には強い反感を隠さない人が大勢います
さらに若者たちにとっては、毎年やってくる大陸からの移民や投機資金の流れ込みで住宅価格が高騰し、若者が結婚して新居をかまえることがどんどん難しくなってきていることも不満のタネです
もともと平地が少ない香港、あれだけの高層マンション、ビルを建てても、まったく追いついていません
白猫が返還のころに見たニュースでは、10年間で香港の人口を850万人にするとかいっていたような・・・毎年何万人移民するんだよ・・と思った記憶があります
さすがに、この目標は撤回したみたいです、住宅難のせいか