文化大革命から逃れて、泳いで海を渡った少女

KANGさんは、中国南方の出身の女性、17歳で香港に密航してきました

学校では水泳部に入り、毎日数時間の猛練習を欠かさなかったといいます

それはまさしく、香港へ泳いで渡る、その日のためでした

 

17歳になったある日、KANGさんは泳いで深圳湾を渡れそうだと確信を持ち始めました

そこで同級生の男の子とともに香港へ向かうことにしました

故郷の町から国境までは歩いて数日はかかります

 

見つからないために用心して、昼間は外に出ず、しかし夜になっても幹線道路を歩くと見つかる恐れがあるため、ただ山の中をゆっくりゆっくり進みました

 

深圳に近い国境で、ゆっくりと海に入っていったとき、あたりは真っ暗で大変な恐怖を味わったといいます

KANGさんは、それでも大陸から逃げ出したい一心で、気力を振り絞って対岸へ向かって泳ぎ出しました

 

途中で解放軍のパトロール船が近くを通り過ぎたため、なるべく頭を低くして水の中へ身を隠しました

半分ほど泳いだとき、一緒にきていた男友達が動けなくなりました

KANGさんは、風呂頃から母親が持たせてくれた小さな朝鮮ニンジンのかけらを取り出して彼に食べさせました

 

こうして6時間泳いで対岸の香港郊外の岸に上がることができました

 

香港警察は2人を見つけると、パンを買って食べさせてくれ、2人を慰めたといいます

 

あのパンは人生で一番美味しいパンでした

 

KANGさんはこう振り返ります

 

もう何十年も前のことなのに、話をするKANGさんの目には涙があふれていました